2008年7月4日金曜日

バリアフリー、ユニバーサルデザイン

バリアフリー」と言われてかなりたちます。街にはノンステップバスが増え、駅にはエレベーターが増え続けています。このところ駅の改修が多いのもバリアフリー化が影響しています。エスカレーターが増えた恩恵を受けている方も多いと思います。「バリアフリー」は段差がないだけではなく、車いすの方、高齢者などが生活する上でのバリアがないことです。最近では、特定の人にかぎらず全ての人にとっての「ユニバーサルデザイン」も言われてます。

国土交通省のウェブサイトにも、バリアフリー・ユニバーサルデザインというページがあります。そこには、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律並びに  関係の政省令及び基本方針の施行について」というのがあります。
...これにより、高齢者、障害者等の円滑な移動及び建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する施策が総合的に推進されることとなります。
とあります。「特定道路」へのエレベータ付き横断歩道橋設置や福祉タクシーへの要件などが書かれてます。しかし、特定道路以外ではどうなのでしょうか。

上の写真は街の至る所で見られる景色です。いろいろ気付かれると思いますが、ここでは、車庫入れのための傾斜に注目したいと思います。この傾斜は車が歩道を乗り越えていくためだけに作られたものです。この傾斜のある歩道を車いすが障害なく進めるとは思えません。ベビーカーを押して歩くことすらできません。子供の補助輪付きの自転車もまともに進めません。このような傾斜はバリアフリーが叫ばれる以前だけでなく、今でも作られ続けています。しかも、新しい歩道にすら作られます。しかし、この改善が難しいかったり、費用がかかるのでしょうか。実は、そうではないという話を書きます。

東京都狛江市という街の歩道を紹介したいと思います。最近10年間に造られたこの街の歩道を移動すると非常に快適に感じます。自転車に乗るとよくわかりますが、歩いても快適さが感じられます。よく見ると自動車が出入りするところでも、歩道には傾斜がないのです。単に、右の写真のように縁石だけが傾斜しているのです。

このため、歩行したり、自転車に乗るのが快適に感じられます。もちろん車いすの方はもっと感じられるでしょう。一方、車もそれほど不便ではありません。車が歩道の段差を乗り越えるには、この程度の傾斜があれば十分だからです。まさしく、ユニバーサルデザインです。

狛江市の歩道が歩きやすいのは、車庫の傾斜だけが理由ではありません。この写真は、実は車庫への入り口ではありません。なんと路地の車道の入り口なのです。

右の車道から写真をみると、歩道の向こうに路地があるのがわかると思います(一時停止線への路駐は愛嬌)。このようなとき、普通は歩道は途切れ、車道を横断する必要があります。しかし、ここでは逆で、車道を横断する必要がないのです。

車で路地、それも住宅街の路地に入るのは、その街に用事があるときですので、車を使うにしてもそれほど不便は感じないと思います。一方、歩道を歩くには、ものすごく快適になります。実際に歩いてみると、いかに、ほかの街の歩道が車道で寸断され、歩きづらい街なのかがわかります。

なによりも、この構造のすばらしいところは、エレベーターでエネルギーを消費しつづけたり、多額の予算で大掛かりな工事をしたりすることなく、少しづつの改良でできることです。あるいは、これから道路工事をするなら、そのついでにできることです。なぜなら、単に縁石部分を替えるだけですから。しかも、これは学者の理屈ではありません。狛江市という実在の場所のいたるところにあるのです。

このような素晴らしい実例は、少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。これからも、きづいたところから紹介していきたいとおもっています。

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