2014年4月5日土曜日

調布の河原の街並み~多摩川スーパー堤防

多摩川スーパー堤防計画というのがありますが、あまり、評判はよくありません。完成までに400年、関東6河川で12兆円かかるといわれている工事で、河川局の仕事を作るためといわれても仕方がありません。東海道線の橋の近く六郷渡し近辺の戸出地区のように単に河川敷にマンションが林立しているだけところもあり、良い印象がありません。本当に完成させようとすると、ものすごい面積の区画整理も必要で、完成する見込みはないといってよいでしょう。

しかし、今日多摩川を散歩していて、美しく出来上がったスーパー堤防の一部に出会いました。ここは染地地区といって調布市の25.5km付近、延長1,300mで事業中のところです。
 
一見、普通の住宅地に見えます。ただ手前が芝生で広々と美しくなっています。実は、この右に見えるのは堤防の上を走っている、多摩川サイクリングロードです。そこと住宅地が同じ高さになっているのが味噌です。

カメラをもう少し右にむけると、こんな風になっています。堤防になっているのがわかるでしょうか。右側が多摩川の河原で低くなっています。そのさらに右下に多摩川が流れています。
 
普通の堤防の陸地側はこんな風に段差になっています。堤防部分だけが高くなっていて、その堤防が崩れたら水が流れ込んでしまう構造です。場所によっては陸地が川の水面より低いところも日本国内にはあります。
 
未完成部分との境目はこんな感じです。手前がスーパー堤防、奥がこれまでの部分。この野球場を盛り土して同じ高さまで持ち上げるのがスーパー堤防の計画です。
今日見つけた景色は大変美しく、見本になるような場所です。こういう街づくりができると素晴らしいと思います。しかし、この場所は小田急線と京王多摩線の中間でどちらの最寄駅から徒歩で30分くらい、しかも各駅の駅で、いわば地価の安いところだからできるともいえます。実際、この大きさの家が東京で2階建てだけで並んでいることで想像できると思います。

ほかの場所ではこのような余裕のある計画はできず、結局、高速道路が走ったり、自動車道が通り抜けたり、マンションがぎりぎりまで林立する形にしかなりません。また、堤防から500mから1kmにわたって、両岸総延長全部を工事するのは、さすがに無理としか言いようがありません。国家百年の大計と言えばよく聞こえますが、多摩川だけが日本の川ではありません。一級河川だけとっても関東地方はとても少なくそれでも7河川あります。全国ではもっとたくさんあります<Wikipedia:日本の一級河川一覧>。そのひとつに4兆円をかける。やはり、ありえません。美しい景色と現実のギャップを感じた一日でした。


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