2冊持ち込み、読み比べです。2005年と2012年の本ですが、テーマは同じで後北条氏による関東八州の夢と挫折です。左の齋藤著 戦国時代の終焉(中公新書)は良く布団で読んでいた書。
今回メインなのは右の、池著 東国の戦国争乱と織豊権力です。
相模・武蔵・上野と地元の戦国時代が通覧されています。この時代は、応仁の乱に始まり、川中島の合戦や厳島の戦い、桶狭間の戦いなど個別の大合戦と織田信長による上洛畿内平定、本能寺の変、豊臣秀吉による天下統一で語られますが、その間の関東での変化を通覧しています。
この時代、鎌倉公方と関東管領から戦国大名の北条氏による領国化が進み、最後に豊臣秀吉の中央権力に討伐される流れになります。
この変化の中で、戦国大名で人気のある若かりし上杉謙信が最後の関東管領として登場し、その関東静謐の挫折があります。永禄3年に10万と言われる関東諸将の大軍で小田原城を包囲し、その後、鎌倉で関東管領に就任、上杉の名跡を継ぎます。ここが、彼の人生の一番のときだったのでしょうか。この直後に北条氏と同盟していた武田信玄の北信濃進行にとって返し、有名な川中島の戦いになります。この後、永禄年間を通じて毎年、越山して関東に攻め入りますが、もはや永禄3年の再現には至らず徐々に関東諸将が北条氏に取り込まれていき、挫折します。
一方、北条氏も順調に関東を制圧したかというとそんなことはなく、幾度も敗戦、寝返りを受けて一進一退を繰り返します。武田家が滅亡して上野に滝川一益が入部し、関東静謐を唱えたとき、北条氏はやっと相模・伊豆・武蔵を抑えていて、上野、下野、上総、下総では一進一退を繰り返していたところです。
この二書は、このあとの本能寺の変の後から秀吉の小田原攻めまでにおこったことが記載されてます。徳川家康と信濃・甲斐の武田旧領を争った若神子の合戦、小牧長久手の戦いと連動した沼尻の戦いを通して北条氏が天正14年にかけて関東を常陸・安房以外を、領国化していく過程の流れが描かれています。
比較的良く知っているつもりの戦国時代、それは実は捉えるのが難しい時代とわかります。源頼朝から始まる鎌倉・東国の封建領主の台頭から、織田信長・豊臣秀吉による近世大名化と身分秩序の構築の大きな変革が根底にあることで大変興味深いところです。
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